
研究所で育てられた遺伝子操作された(生化学的に改良された・特殊な教育をされた)子どもたちが散り散りになり、成長して、、、というハナシ。
もう、コスリ倒された設定ではある。
ちょっと思いつくだけでも「AKIRA」とか「ダークエンジェル」とか、浦沢直樹の「MONSTER」もこの変種だろう。
という訳で、さんざっぱらコスリ倒された設定な訳ですが、もう、びっくりするほど面白かったですぅ、、、
この映画の「転調」によって描かれている。
映画は何度も、何重にも「転調」する。
オープニングのタイトルバックに実際に過去の子供を使った人体実験の記録映像(っぽい?)静止画が流れる。コレがもう怖い。多分、最後の1、2枚が本作のために作ったスチルなのだろうが。
そして本編になだれ込むと、記録映像にあったような「研究所」がイキナリ崩壊していく様が映し出される。
理由はよく解らないが、なんだか知らないけどヒトビトはあわくってドタバタしてるわ、銃声は響くわ、血まみれの奴はいるわ、大変な騒ぎである。
やがて、この混乱のなか、一人の少女(8歳くらい)が研究所を抜け出し、それを追っているらしいことが分かってくる。
少女は脱出に成功し、やがてとある牧場の端っこで倒れているところを、草を集めていたおじさんに拾われる。
なんとも不穏な滑り出しではないか。
映画はここで一度目の転調を迎える。
あれから10年、少女は酪農家の老夫婦の娘として18歳の高校生なっていた。
このパートが、不穏な雰囲気を湛えていた導入部とうってかわってフツーの女子高生の日常を描くことに成功していることで、この映画は凡百のサイキックアクションと一線を隠すことに成功している。
酪農家の一人娘として平和に暮らすク・ジャユン。
お父さんは最近経営が苦しく飼料屋の支払いもままならない。
お母さんはまだそんな歳でもないのにアルツハイマーの症状が出始めている。
ジャユンはそんな状況を打開すべく、親友のミュンヒに勧められたアイドルオーディションに参加することを決める。
この、親友の、キャピキャピお調子者っぷりが素晴らしい。
ここまででも主役のキム・ダミの親思いでマジメな女子高生っぷりも見事だが、コ・ミンシ演じるお調子者の親友のキャピキャピ演技のおかげで、このパートが分厚くなり映画全体のダイナミズムを支えている。
プロデューサー気取りの親友ミュンヒとオーディションに勝ち続けるジャユン。
しかし、ここから徐々に導入部の不穏さが蘇ってくる。
さんざん不穏なムードを撒き散らしたあと、ついにジャユンの家に銃を持った一団が乗り込んでくる。
このあとの転調ぶりはスゴイ。
導入部のことがあるのでジャユンがある程度「ヤる」であろうことは予想がつく。すぐ殺されたら映画終わっちゃうし。
しかしこのイキナリのアクションシーンの激しさ、シャープには度肝を抜かれる。
この瞬間、この映画が「アチラ側」の映画であることを思い知らされる。
映画はこのあと、ジャユンの覚醒をもって再度転調する。
ここからあとのキム・ダミの演技の「転調」は素晴らしい。
マジメな女子高生から最強の殺し屋へ。
そして何より、自分が最強の殺し屋であることを自覚していて、そのことに躊躇がない。
最強の殺し屋であることに躊躇がない可愛い女子高生。
この演技は難しいよ。
フツーの女子高生に続いてこの演技をヤりきったキム・ダミはさすがにスゴイ。
韓国の映画賞を取りまくっただけのことはある。
覚醒したジャユンは懐かしい研究所内でアバれるが、研究所勢力が2つに分裂しているせいで、三つ巴の戦いになる。
ここのアクションシーンも現在のところアクション映画史上に残る激しさ。
キム・ダミもクランク・イン前に相当訓練したらしいが、それでもアクション専門ではない役者さんの悲しさ、格闘シーンをワンカットで撮ったらボロが出そうなこともあるだろうが、相当カットを割っている。
にもかかわらず、一挙手一投足何をやっているか分かって、ちゃんと迫力ある映像になっている。
コレはなかなか難しいよ。
厳密に言うと、逆に全般的にちょっと切るのが早いかな、という気もするが、コレがこの監督の(この作品の?)スタイルなのだろう。
壁を多用したパワーの表現など、考え抜いたアクションであり、カメラワークなのだ。
日本で言えば「VERSUS -ヴァーサス」の頃の北村龍平を思いだしたけど、いま、何してるんだろうねぇ、、、
という訳で監督は誰かな?と思ったら「V.I.P. 修羅の獣たち」のパク・フンジョンだった。
さもありなん、、、
そもそも映画のタイトルが厳密には「The Witch/魔女 −第1部 転覆−」であって、エンディングも引きまくってます。
久々に、「次を見るまで死ねないな、、、」と思いました。



コメント