「ドント・ブリーズ」暗くなるまで待ってから殺す。

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 ポスターに曰く、
「二十年に一度の恐怖の作品」
だそうだが、それ程のことはない。だいたいその「二十年」前にどんな怖い映画があったというのだ。頼むからその怖い映画教えてくれよ。

 とはいうものの、怖いことは怖い。
 二十年とは言わないが、五、六年に一度くらいは怖い。
 あるでしょう、たまに。
 低予算で有名な役者も出てないし大掛かりなセットもないけど、緊密でアイデア満載な脚本と演出力だけで面白くなっちゃった映画。
 まあ、ホラーは低予算でも面白くなりがちなので、ホラーに多いですけどね。
 「パラノーマル・アクティビティ」とか。
 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」とか
 アレ?ひょっとして「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」から二十年かな?

 泥棒の三人組が近所に住む目の不自由な老人が大金を手にしたとの情報を得て深夜に忍び込むが、この老人が元特殊部隊のツワモノマッチョで目が不自由なくせにまだまだ戦闘能力抜群、楽な仕事のはずが返り討ちにあってボッコボコ、というハナシ。

 で、何が上手いかというと、ですね。
 まず、泥棒三人組の来歴人となりをちゃんと描いているのが上手いです。
 女性がひとりいてドリカム状態の微妙な三角関係。
 それぞれに事情を抱えて泥棒に身をやつさざるを得ない状況、それぞれのそれぞれに対する感情、これらをしっかり踏まえた上での深夜の侵入劇なので、侵入後も、ただスリリングなだけではないドラマがある。

 で、次に上手いのは、ですね。
 ここから狭い家の中でトッポイ泥棒三人組と最強ジジイの殺し合いが始まるわけですが、狭い家の使い方が上手いです。
どこかで
「このジジイに殺されるくらいくらいなら逃げたほうがいいかも、、、」
となるはずだが、まず、逃げ出せない工夫がちゃんとある。そしてそれをちゃんと事前に見せている。逃げられない状況であることが納得行くようになっている。

 そして狭い家の中をものともしないどころか、逆に活かしきったカメラワーク。狭い廊下でマッチョジジイと出くわしたときに我々はどうすればいいのか。
 この映画はこういうスリルでできている。

 ジジイは侵入者をイキナリ殺そうとするなど、登場時からアブないことはアブないのだが、ナニブン老人だし盲目だし、そもそも泥棒に入られた被害者である。
 ちょっと可愛そうじゃないのかな、、、と思った頃、超弩級のネタが投入される。
 このネタは映画全体のコンセプトを崩しかねない大ネタだが、コレがあることによって泥棒三人組に感情移入しやすくなる。イヤ、感情移入しやすくなるネタなのよ。

 これらを踏まえたからこそ、ギリギリと音がしているような緊密な演出が活きるのだ。

 灯りを使った目が見える者と不自由な者と立場の逆転(まあ、往年の名画「暗くなるまで待って」の手だけど)、など、過去のクリシェを利用しつつ、あっと驚く斬新な演出もある。
 登場人物の一人が顎の下に銃をあてられて発砲されたとき(まあ、死ぬよね、、、)、よくバラエティ番組などで顔の正面から強風をあてられたヒトのように、歯から唇までが風に吹かれてハタハタとはためくのである。
 なるほど、外側からの風より、内側からの風のほうがはためくのが道理であるが、コレを表現しようと思った発想力はスゴいと思う。
 こういう不気味なリアリティの積み重ねで、映画は怖くなっていくのだな、、、と実感するカットではあった。

 例によってラストがラストがしつこいのだが、それなりに大団円感のある終わり方であった。

 制作にサム・ライミが名を連ねてるなーと思ったら、監督のフェデ・アルバレス氏はなんとサム・ライミのデビュー作のリメイク「死霊のはらわた」のヒトであった。
 そう言われてみると「男女がボロ屋に忍び込んだら中に悪魔がいてさんざっぱらシドい目に会う」、というコンセプトはソックリだ。
 多分、大して話題にもならなかったリメイク版「死霊のはらわた」のリベンジのつもりなのだろう。
 で、リベンジとは十分すぎるほど成功したな、と思った次第でございます、、、

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