「犬鳴村」 BACK TO 犬鳴村

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 Jホラーの二大巨頭の一方の雄、清水崇作品。
 もう一方の中田秀夫はここんとこ過去の自作を食いつぶすような映画ばかり撮っているが、清水崇はどうにか過去の栄光にすがらずに映画を作れたのだろうか、、、

 何しろ「犬鳴村」である。
 どーせ、流行り(もう、古いか、、、)の都市伝説にノッカって金稼ぐつもりちゃうんかッ!!
 てなもんである。
 なんかさー、清水崇ってハリウッドから帰ってきたあと、「戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH」とか「ラビット・ホラー3D」とかノッカり企画ばっかりじゃん?
 そういえば最近3Dって流行んないねぇ、、、一時期あれだけ騒いでたのに、、、
 結局、3Dが下火になっちゃったから次は都市伝説にノッカることにしただけちゃうんかッ!!
 みたいな、、、

 しかし、ですね。
 とりあえずストーリーに着目すると、コレはコレでうまくまとめたのではないか。
 犬鳴村伝説をうまく取り込んで、ふくらませた上で最後まで興味を持って観ることが出来る脚本になっていた。
 少なくとも、「どーせノッカりだからこんなもんでよくね?」というレベルでは書いてない。真剣に、面白いホラー映画を作ろうとして書いている。それは伝わる。本人が思ってるほど面白いかどうかはまた別だが。

 オープニングはイキナリPOV。というか(はっきり言及されないのだが)登場人物の動画サイトにアップする用の動画。
 いかにもトッポそうなカップルが、今となっては入村不可能と言われていた犬鳴村に、ある方法を使って潜入に成功する。
 明らかに女性主導なのがリアルなこのカップル、当然のことながら怖い目に合うわけですが、珍しくちゃんと二人とも生還する。
 で、一旦生還するが、、、というハナシ。

 実を言うと、怖いのはここまで。
 この最初に犬鳴村に潜入するシークェンスだけはPOVのおかげもあってかそこそこゾクゾクする。
 が、その後は怖いということはない。
 このあとはどちらかというと謎解きだったり、犬鳴村崩壊から現在に至る因縁だったりでとりあえず面白く見せる。
 特に犬鳴村の血脈が現在にまで影響を及ぼしているというアイデアはさすが自ら脚本も書く清水崇といったところか。
 さらにラスト近くの2つの時間線が一度交錯して離れていく趣向にはちょっとハッとした。
 さらにさらにラストのワンカットも、軽い(あくまでも軽い)どんでん返しで、ふと清水監督の過去作「輪廻」を思い出す。「輪廻」のワタクシ禁煙さんのエントリーを読み返してみると、タイトルからして「怖くないけど面白い」であった。う~ん、やっぱり、、、

 主人公は冒頭のバカップルのパシリ男の妹、三吉彩花。さすがに美しいし、一応見られる演技をしているのだが、この映画、人間関係とキャストに違和感があって、そこは最後まで気になった。
 まず、バカップルのパシリ男が三吉彩花の兄に見えない。
 パシリ兄がプータローらしいのに三吉彩花が心理療法士という、どインテリ職業なせいかな、とも思ったが、調べてみると三吉彩花24歳、パシリ兄役の坂東龍汰23歳であった。そりゃ見えないよ。
 さらにその三兄妹(二人の下に年の離れた弟がいる)の両親が高嶋政伸と高島礼子。
 コレは年齢的には大丈夫なはずだが、高嶋政伸におバカイメージがあるせいか、三吉彩花みたいな立派な娘がいる父親に見えない。
 二人とも「タカシマ」姓で実生活の夫婦関係が破綻した(事がある)役者に夫婦役をさせているのはなにか意味があるのかな、と気になって集中できないではないか。

 さらに言うと、三吉彩花兄妹の祖父が石橋蓮司なのはこの映画の中では比較的納得の行く配役だが、その奥さん、兄妹の祖母が捨て子で、拾って育てたのが石橋蓮司の家族、というのがスゴく気になる。
 コレ、絶対それこそ兄妹として育ってるじゃん?
 どの時点で「じゃ、夫婦でいっか、、、」となったのか、ちょっとは言及してくれないと気になって集中できないではないか。

 あとですね(なんか悪口言いだしたら止まらなくなってきたな、、、)、ヒト型の怪異(まあ、幽霊とか亡霊とか言ってもいいが)の描き方が気に入らない。
 「呪怨」の伽椰子や俊雄くんは徹底的に物理的な実態のある姿で描かれていた。
 今となっては当たり前だが、コレは当時は斬新だったのよ。
 露骨な実体のある肉体として霊界から蘇った者を描いて不自然にならない、というのは当時としては大変難しく、大胆な手法だったのだ。この手法を確立させたからこそ清水崇はJホラーの創始者、ホラーマスターなどと呼ばれているのだ。
 しかるに本作ではこの期に及んで「半透明」などという中途半端な手法に堕している。
 まあ、今回はナニブン「村人」なので、集団で出てくる。この集団を実体のある存在として描くと、エグくなりすぎるのだろうが、もうちょっと工夫してほしかった。

 そういえば、前半のPOV部分だけ怖い、というのはライバル(なのか?)中田秀夫の「貞子」と同じであった。
 コレはもしかすると我々が動画サイトに毒されすぎて動画サイトっぽい映像じゃないと怖がれなくなっている、ということなのだろうか。
 それとも動画サイト風映像、つまりはPOVこそがホラー向きの手法であることを証明している、ということなのだろうか。
 もう、我々はPOVでしか怖がることができないのだろうか。
 どっかに旧来の手法でちゃんと怖がらせてくれる監督はいないものだろうか、、、

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