ワタクシ禁煙さんは過去、このシリーズはその時その時の演出・構成が誰だかによって、個性が出てしまっている、というスタンスで論じてきた。
例えば菊池宣秀氏時代など、最初はどーなることかと思ったが、やがて強烈な個性を発揮し始め、実はワタクシ禁煙さんは今の所この時代が一番好きです。メッチャ怖いし。
そんな中、そろそろKANEDA氏も個性を発揮してほしいのだが、、、
現時点での個性といえば、いつも偉そうで基本的に投稿動画を「フェイクである」と決めつけがちなフリーライターのヒゲデブとか、「アジア魍魎研究所日本支部関東局長(デブ)」とその部下(多分この二人はホモ達)とか、霊能者のお姉さん(ぽっちゃり系)とか、演出補と投稿者以外にも謎の登場人物を出してくる、というスタイルがある。
本作などは驚いたことに前作で「道端で出会って取材されただけのヒト」がいつのまにかチャッカリ演出補として登場してたりする。
なんだコレは。
このヒト、取材に協力してくれた時点では無職だったの?それとも仕事ヤメて演出補になったの?
けっこういいマンションに住んでたみたいだったけど。
どうも取材されてる時点で妙に協力的なヒトだなとは思ってたが、、、
要するにこのヒトも前述の3組と同じようにKANEDAワールドの住人なのだろう。
われわれは、こうして、ほん呪世界が徐々にKANEDAワールドに侵食されていく過程を見せられている。
そしてもうひとつこの巻を観ていて感じた事がある。
KANEDAワールドにおいては、一風変わったところが舞台になっていることが多いな、ということである。
まあ、ワタクシ禁煙さんの世間が狭いだけなのだが、なんとなく、見慣れない風景が舞台になっていることが多い気がする。
という訳で一本目から、、、
「神の視点」
幅30mはありそうな大河(?)。ほとんど流れが無いので比較的下流なのだろう。
そして河の両側にはそれぞれ10mほどの鬱蒼とした森が繋がっていて、森の中に一本の舗装された道が通っている。。
投稿者はここでドローン撮影のテストをしていたが、禁煙からの撮影中、森の中の道路にひとりの「黒スーツ姿」のオトコが歩いている。
オトコは空中から撮られていることに気づいたのか、森の中に隠れてしまう。
やがて投稿者が撮影を止めてドローンを回収した際、投稿者のすぐ横の森の中から、、、
というハナシ。
コレは厳密に言うと心霊現象でも呪いでもない。
単に似た服装のにーちゃんが二人いた、で済んでしまうハナシである。
なぜ誰も
「コレ、心霊映像じゃ無くないっすか、、、」
と言わないのか不思議な気がする。
しかし、実を言うとワタクシ禁煙さんはこのエピソードはけっこう面白かった。
まず、この風景が新鮮。
単にワタクシ禁煙さんが世間を知らないだけなのだが、なんとなく
「日本にこんな風景があったのか、、、」
という感じ。
ドローンが上昇中にふと河の横を映すと、もう、建物も山も無くて、ほとんど地平線が見えそうな平地。多分、関東平野のどこかなのかな。
たしかに最寄りの駅まで徒歩で5時間くらいかかりそうなこの場所で、なぜスーツ姿のオトコが歩いているのか、不思議といえば不思議である。一体全体こんなところでこのオトコ(達?)はナニをしているのだろう。
コレが作業着とかジョギングウェアとかだったら普通なのだが、、、
コレをつまり、KANEDA体制の「見慣れない風景」と呼んでます。
「シリーズ監視カメラ 簡易宿泊所」
続いてのエピソードも「見慣れない風景」シリーズ。
簡易宿泊所を経営していた父の遺品の整理中に出てきたビデオを再生してみたら、、、
というハナシ。
タタミ一畳分しか無い「簡易宿泊所」の風景がコレまた新鮮。
このタタミ一畳にほとんど住み着いていたヒトがいたという。
オレって世間知らずだなぁ、、、
「手筒花火」
手筒花火の爆発の炎の中にヒトの顔が、、、
コレ、手筒花火の持ち手に虐待されて自殺した妹ではないか、というのだが、恨みのあまり口を大きく開けすぎていて、もう、アゴ外れてるでしょ、コレ。
「監視者」
廃村に肝試しに行ったアホなにーちゃんねーちゃんの集団。
ところが廃村の住人だか管理者だかに「オイ!」と怒られてしまう。
ただし、その管理者には生きていく上で絶対に必要な部位が欠損していて、、、
というハナシ。
またしても坂本一雪時代の傑作、「疾走」の焼き直し。やっぱりアレ、名作なんだねぇ、、、
「七夕」
投稿者の娘が通う幼稚園の七夕祭りに、最近亡くなった近所のおじさんが訪ねてくるハナシ。懐かしい園児たちに会いに来たんなら、もう少し穏やかな顔で会いに来ればいいのに、、、
「Propagation」
今回の長編。
イキナリ別々に投稿された二本の映像が実は、、、パターン。
まず一本目の「夢遊病」。
投稿者の友人三宅さん(見た目20代前半の可愛い女性)は最近起きると体中がバッキバキに疲れている、というので、夜中ナニをしているのか調査すべく、投稿者が部屋にビデオカメラを設置して撮影してみる。
すると、案の定三宅さんは夜中に部屋の中を歩き回るわベッドの上で腕を上げたり下げたりするわベッドの横に座り込んで見えないお友達と会話して盛り上がるわ、もう、大暴れ、というハナシ。

そしてもう一本が「ワークショップ」
とある芝居のワークショップ。映画監督が講師になって十数人の生徒に芝居の指導をしているのだが、いわゆりポルターガイストというのか、突然ドアを激しくノックする音がするが、開けてみると誰もいなかったり、突然窓を叩く音がしたりする。一度などはあまりの音の激しさに生徒たちが怯えてレッスンを中断せざるを得なくなる。
しかし、この映像にはもう一つ、キーポイントがある。
映画監督と名乗る講師が、生徒に暴力を振るう様子が写っているのである。
もともとワークショップ自体、資料のために映像に残しているのだが、自分が暴力振るう前、いちいち講師はカメラを止めるように指示している。しかしなぜか止めることを支持された生徒は、「止めるふりをして映像を止めていない」。
そしてこの「止めていない」生徒こそが、この映像の投稿者である成瀬氏(30前後?役者志望だけあってなかなかのイケメン)なのである。
普通ならこの二本はそれぞれ紹介して終わりなのだが、ここで演出補の知花はる嬢が、突然我を出し始める。
このワークショップを詳しく取材したい、と言い出すのだ。
KANEDA氏は投稿映像のクオリティからこれ以上取材してもたいした素材にはならない、と判断し、コレ以上の取材は無用と判断するのだが、知花はる嬢は頑なに取材続行を主張する。
そしてその様子を本編に取り込んでいる。
つまり、コレがテーマなのである。
おそらく、知花嬢が取材続行にこだわるのは「暴力を振るう」講師に対する怒りである。
この講師を追い詰めたくて、もしかするとこの暴力に終止符を打つことが出来るのではないかと望んで取材続行を主張しているのだ。
このエピソードは恐怖映像というより、「人間、知花はる」を描くことにテーマがシフトしているのだ。
もともとKANEDA体制になって以来、演出補は、あまり表情を変えないが結構可愛い知花はる嬢と、予備校生みたいなカッコしてるがいつも冷静でしっかりものの中田亮くんの二人体制だったが、この巻で突然前作の取材協力者、松尾みのるが加わっている。
この、突然の新人の参加も、突然取材に対して自我を主張し始めた知花嬢に対する驚きの表情が欲しかったからでは無いかと思う。ちゃんと彼がギョッとして知花嬢を振り向くさまが抑えられているのだ。旧知のしっかりもの、中田くんではこの表情は無理だろう。
そして、知花嬢の粘りのおかげで、さらなる真実が明らかになる。
夢遊病者の三宅さんは最近友人が自殺しており、その友人はなんと件のワークショップに参加していた、というのだ。
さらにその友人と暴力講師のただならぬ関係が明らかになるにいたり、ついに知花嬢は講師との直接対決を望むのだが、、、
おわかりいただけたろうか。
KANEDA体制下では既に「恐怖」を描くことは目指していない。
人間ドラマを描くことにシフトしている。
コレがシリーズにとって是となるか否となるかは難しい。
人間ドラマなら他にいくらでも優れた作品があるからだ。
まさか、知花はる嬢を川居尚美嬢につづく新たなスターにしようとしている、とでもいうのだろうか、、、



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