「新選組始末記」 GW新選組映画シリーズ第二夜

 子母澤寛の「新選組始末記」が原作だが、新選組隊士の中でも謎が多く陰影の深い人物、山崎烝に焦点を当てたストーリーになっている。
 脚本は本作の監督、三隅研次と主演、市川雷蔵のトリオで多く仕事をした星川清司。

 結果としては市川雷蔵のスター映画なんだと思う。
 近藤勇に惚れ込んで新選組に入ったそれこそ「爽やかな」剣士が、理想と違うドロドロした権謀術数の世界に悩みながらもどうしようもなく武士の世界に落ち込んでいく、という、三隅・雷蔵コンビの「剣」三部作とも共通するテーマで、雷蔵が脚本を読んで藤巻潤から奪い取っただけのことは有る。

 しかし本作も1963年のお正月映画であり、ある程度オールスター映画だったりもする。
 近藤勇は城健三郎(つまり後の若山富三郎先生)。
 土方歳三は天知茂。
 芹沢鴨が田崎潤。

 お気づきでしょうか。
 まぁ~~~濃いです。
 雷蔵意外のキャストが異常に濃いヒトばっかり集めてます。
 雷蔵は白皙の美青年なので、正直、周囲のおっさんたちに押されてる感がある。

 市川雷蔵は剣豪役が多いが、爽やかな二枚目ぶりと、そこを逆手に取ったニヒルな役柄が剣豪イメージに合っているだけで、殺陣はそんなに上手くない。
 しかるに共演者たちはどうだろう。
 揃いも揃ってドギツい剣豪役者ばかりではないか。
 特に若山先生とは池田屋のシーンで刀を並べて戦うが、まあ、後に「子連れ狼」シリーズでコンビを組む三隅研次と若山先生のド迫力の殺陣の前では、華麗な殺陣でごまかしてきた雷蔵はいかにも分が悪い。

 新選組を辞めて自分と暮らしてほしいと望む許嫁の女医(藤村志保)への思慕と、近藤への尊敬との間で揺れ動く雷蔵を楽しむ映画であり、剣豪ぶりを楽しむ映画にはなっていない、ということだ(一応剣の達人の役なんだけどね)。

 三船プロの「新選組」と違い、土方歳三役の天知茂はハマり役。
 この頃から眉間にシワを寄せたしかめっ面一辺倒だが、冷徹な土方歳三にはピッタリ。

 しかし、この映画最大の衝撃は、雷蔵演じる山崎が刺客に命を狙われた際、たまたま一緒にいた許嫁の藤村志保が、山崎が刺客を撃退したのち、延々と叫び始めるシーンだろう。
 危うく命が助かった訳だし、許嫁の雷蔵がなんという危険な仕事をしているのだろうと言う思いで錯乱するのは分かるが、「美人女優が」という視点から見ると普通はNGなレベル。
 脚本に「錯乱して叫ぶ」と書いてあっても普通ここまでやらないだろう。
 後に「切り株映画の巨匠」などと言われるようになる三隅研次監督の狂気を垣間見た思い。

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