「カンフー・ヨガ」 ジャッキーの彷徨は続く。

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 天下のじゃきちぇんも、もう65才である。
 そうそう無茶ばっかりしてられない。
 
 ここには、既に「酔拳」の目の覚めるようなカンフーは無い。
 「プロジェクトA」の心躍るアクションも無い。
 「ポリスストーリー」の目を覆いたいくなるような破壊もない。
 「スパルタンX」の胸の熱くなる友情もない。
 「ポリスストーリー3」の目を疑うスタントもない。
 
 んなもんなんにもねーじゃねーか、と思うだろうが、そうでもない。
 「なんか」はある。
 「なんか」はあるのである。
 
 80年代後半以降、ジャッキーのライバルはブルース・リーでもジェット・リーでもなく、インディー・ジョーンズであった。
 「サンダーアーム/龍兄虎弟」に始まり「プロジェクト・イーグル」と続く、トレジャーハンター「アジアの鷹」シリーズは、22年後にもう一回「ライジング・ドラゴン」で演じるほどのお気に入りだったが、ジャッキーはハッキリ「インディー・ジョーンズに対抗する」と言っていた。
 しかし「ライジング・ドラゴン」のときに「これはサスガに、もう、トレジャーハンターは無理だな、、、」と思ったのだろう。
 とうとう今回はインディー・ジョーンズと同じ考古学者である。
 もう、オリジナリティとかどうでも良くなっちゃったんだろう。齢を加えることにはこういう利点もある。
 
 ところでインディー・ジョーンズと言えば「冒険と伝奇」である。
 トレジャーハンター「アジアの鷹」シリーズは主に冒険主体で伝奇もの部分は無かったが、今回は伝奇モノ部分があるというところでも、インディー・ジョーンズに近づいている。
 アヴァンタイトルで延々と1,400年前のインドと中国の交流を、何故か全編CGで描く。
 まあ、古代インドと中国の大軍による合戦が主なシーンなので、
「イマドキ大軍勢同士の合戦シーンっつったら端っこの兵隊さんはどうせCGだろ?だったらもう、主役含めて全員CGで」
 ということだろうが、なんだかゲーム画面を観せられているようでイマイチ醒める。
 だったろもう、絵でいいじゃん、という気さえする。
 
 監督は「ポリス・ストーリー3」の「スタントの鬼」、スタンリー・トン。
 スタンリー・トンと言えば観ていて「ウソでしょ!?」というようなムチャクチャなスタントがウリだが、今回はとうとうアクションシーンすらCGに頼るという体たらく。
 若い、まあまあ体の動く奴を二人入れて(アーリフ・リーとEXOのレイ君。全然知らんけど)なんとかアクションしたり冒険したりしているが、要するに、
 
 もうジャッキー・チェンでアクション映画は無理
 
 というもう、何度目になるかわからない確認をしただけの映画になりかねない。
 
 で、今回決定的に「なんかある」と言えるのは、「インド」である。
 まあ、ジャッキーは今まで世界中飛び回っているので、いまさらインドがあるからなんだってハナシになりかねないが、今回は、「ボリウッド」があるのである。
 ボリウッドからキレイドコロの女優一人と悪役用に男優一人連れてきて、なんとかボリウッド風味を出そうとしてます。
 が、これもあくまでも「出そうとしている」という領域を出ない。
 
 ところがですね。
 ラストで、ついに、ジャッキーとボリウッドが完全に融合します。
 
 ボリウッド映画(風)ですから、当然ラストに群舞があるわけです。
 そして、群舞が始まる直前、全員集合で整列した状態、センターに立ったジャッキーが、後ろを振り返後ろに居並ぶ出演者たちに、いたずらっぽく笑いかける。
 この瞬間が、たまらなくジャッキー。
「これから踊るぜ?ジャッキー・チェンが踊るぜ?みんなもよろしくな?
 
 この一瞬で、全てが報われた気がした。
 この一瞬こそが、ジャッキー・チェンなのだ。
 この一瞬で、ジャッキーを満喫できた気がした。
 
 その後のダンスも楽しいのだが、この一瞬に負ける。
 
 一瞬でカンフーにもアクションにも伝奇にも、ボリウッドにすら勝ってしまうジャッキー。
 別にカンフーやアクションができなくても、オレたち(オレだけ?)はジャッキーが好きなのだ。
 
 誰か、カンフーやアクションができなくなったジャッキーを活かせる監督の登場を切に願う。

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