「アンデッド/ブラインド 不死身の少女と盲目の少年」ゾンビのボーイ・ミーツ・ガール

 新人監督のデビュー作らしく、瑞々しい感性に溢れた、ゾンビ風ホラー映画。
 およそ「瑞々しい」からもっとも離れた存在であるゾンビ(的なもの)を瑞々しい感性で描いているのがミソか。

 あくまでもゾンビ的なものであって、通常我々の考えるゾンビではない。
 タイトルの通り、「アンデッド」と言うこの映画独自の存在であって、通常のゾンビと似ているところもあるが、ぜんぜん違うといえば違う。
 一旦死んで身体が腐りかけている、人肉を食べたがる、等は共通しているが、知性は生前と同じで普通にしゃべってりする。
 そして恐らくはゾンビのような伝染病ではなく、その土地だけに発生する風土病、というか、まあ、ようするに「呪い」ということだろう。
 舞台となっている地域は「悪魔の巣」と呼ばれ、地元の住民から「バケモノの出る土地」として恐れられているのだ。

 映画は中年のおっさんが田舎道で車を走らせているシーンから始まる。
 ガソリンスタンドで給油ついでに売店で買い物をしていると、店のジジイがなんやかや話しかけて来る。
「悪いが急いでいる」
と言ってジジイを制するが、その時、売店のテレビがニュースでおっさんのことを報じ始める。
 ジジイは慌てておっさんを見るが、その時すでにおっさんは銃を構えていた。

 この、ババッチイ二人のやり取り、そして売店のジジイのキャラ、さらに完璧なタイミングとカッティング、荒涼とした色調、全てがまるで手練のベテラン監督のような腕前。フランケンハイマーか全盛期のマクティアナンかと思った(ちょっと大げさかな、、、)。

 おっさんは要するに変態オヤジで、盲目の美少年を拉致して車のトランクに隠して連れ回しているのである。
 そして、「バケモノの出る土地」なら人気が少なかろうと、隠れる場所を探しているのだ。

 しかし、「バケモノの出る土地」で最初に見つけた空き家には、少女のアンデッドが棲んでいた。

 美少女アンデッドはあっさり変態オヤジを屠り、盲目の美少年と出会います。
 出会いますが、少年は盲目なので、美少女アンデッドの顔が傷だらけで腐りかけていることはわからないので、フツーにコミュニケーションが成立します。

 この後拉致られた盲目美少年を探しに警察やら賞金稼ぎやらがやってきますが、盲目美少年が変態オヤジに「警察に見つかったら家族を殺す」と脅されていたせいもあって、美少女アンデッドは割とヘーキで彼らをぶち殺します。

 しかし、盲目美少年とだけは、心を通わせる美少女アンデッド。
 つまり、恋です。

 う~ん、青春、、、

 アンデッドの青春。

 アンデッドのボーイ・ミーツ・ガール。

 フツーに「アンデッドのボーイ・ミーツ・ガール」と聞けば、もう、コメディとしか思えないが、驚いたことに、アンデッドの恐怖と不気味さをキープしたまま、青春ラブストーリーも成立させている。
 これは新人としてはスゴイことではないか。
 新人らしいみずみずしさと、驚異のテクニックを併せ持った新鋭の登場をコトホギたい。

 映画はこのままアンデッド映画としては反則と言えるほど意外な(途中伏線は張っているのでアンフェアではない)、展開で締めくくられるが、それまでの演出のみずみずしく、カッチリとしているので、意外な感じがしない。
 ああ、なるほどね、、、と納得させられてしまう。

 前にも書いたがこの映画におけるアンデッドは通常のゾンビと違う。
 恐らくは最初から提示されていた「バケモノの出る土地」がキーになっている。
 この「バケモノの出る土地」の呪いがどういうものであるのか全く説明されないので、ヒトによっては??となるかも知れない。
 しかし、もともとゾンビもそういうものではないか。
 そもそも何をエネルギーにしていつまでも動き続けるのか、なんで人肉に限り食べたがるのか、全然わからない。
 ぜひ、この土地を舞台にした続編を作り続けて欲しい。

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