「事故物件 恐い間取り」 実話と中田秀夫とエンターテインメント

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 また観ちゃった、、、
 もう、ヤメようって言ったのに、、、
 もう何度目だろう、、、
 どうせまた裏切られると分かっていても、ふと気がつくと魔物のように観てしまっている中田秀夫ホラー。

 で、また裏切られたわけですが、、、

 なんの情報もなく観たので、当初「ハハァ~、芸人さんが主人公なのなねー、、、」とか思って観ていた。
 やがて主人公がTVプロデューサーに命令されて事故物件に住む展開を見るにつけ、

 「アレ?オレは一体ナニを見せられているのかな、、、」

 という気になってきた。
 しかし、やがてコレは何度かテレビで見たことある「事故物件住みます芸人」の実話をもとにした映画なのだな、気づく。
 そして、ワタクシ禁煙さんはふと思うのである。

 「アレ?中田秀夫って、ちゃんとした原作があるんなら、面白くなるんじゃなかったっけ、、、しかもコレって中田秀夫が得意なバックステージものじゃね、、、」

 売れない芸人、山野ヤマメ(亀梨和也)は相方(瀬戸康史)に見捨てられピン芸人としての将来に不安を感じていたが、唯一のファンだった梓ちゃん(奈緒)といい感じ。
 元相方のアイデアで「事故物件に住む」という仕事をヤり手プロデューサーに提案され、イヤイヤ住み始めた初日に撮影していたVTRにオーブが写ってしまい大騒ぎに、、、というハナシ。

 ハナシの構造に気づいてしまえば疑問なく楽しめるようになる。

 実は唯一のファンだった梓ちゃんは「見える」体質であり、ヤマメは彼女の助けを得て順調に「事故物件住みます芸人」として活動を続け、映画としては事故物件4件目までを描く(実際には映画公開時点で11軒目に挑戦中とクレジットが出る)。。
 そしてワタクシ禁煙さんは、この2軒めまではよく出来ていてワクワクした。

 1軒目の「赤い服のオンナ」登場のくだりのサスペンスと、2軒めの殺人シーンの迫力はさすが中田秀夫と思わせる。
 しかしそこまで。
 3軒目の不発ぶりと4軒目のグダグダぶりはヒドい。

 コレはまあ、脚本がヒドいですね。
 いろいろ説明出来ていなくて「??」となるところも多いし、そのくせ余計なことをして悦に入ってたりする。

 例えば、1軒目に入居する際、マンションの入口やエレベーターホールに何度も「6階立入禁止」の張り紙がある。
 観てる方としては
「ははぁ、亀梨くんはその6階に住むのだな、、、」
と思うが、亀梨くんの部屋が6階である、という明確な演出はない。

 あと、ナニを契機に引っ越ししているのか判らない。
 明確に心霊現象を撮影したことに成功した描写があるのは1軒目だけである。
 撮影に成功しなくても、ちょっとでも心霊現象に合えば次に移るのだろうか。
 「事故物件住みます芸人」としての発表場所が、最初はテレビプロデューサー紹介のテレビ番組だったのに、いつの間にか怪談ライブみたいなものに移っている経緯が判らないのと合わせて、この辺事情が全く描かれていないので、いちいちつまづいてしまう。

 「事故物件住みます芸人」としての活動が大阪で評判になり、東京進出が決まった際、馴染みの不動産屋に東京の事故物件を紹介してもらうのだが、良い物件が千葉の稲毛にしか無い。不動産屋に

「千葉にあっても東京ディズニーランドって言うでしょう?」

などと訳のわからない事言われるのだが、結局この稲毛の物件を選んだ、という明確な描写がなく、いま亀梨くんが住んでいるのが稲毛なのかどうか不安になる。
 東京、千葉の住民は、不動産屋が「東京ディズニーランドって言うでしょう」といった瞬間、「イヤ、稲毛は遠いだろ、、、」と思うので、延々総武線に乗ってため息をつくシーンとか、海岸も近い稲毛であることが判るカッが欲しいところである。

 さらに言えば4軒目に突然梓ちゃんが現れるのは、一緒に不動産屋で物件表を見ていたシーンがあるので納得できるが、元相方の登場は全く訳が判らない。
 タイミングも、ネットの生中継を見て駆けつけることを決意したことは判るが、大阪にいた梓ちゃんと九州に帰ったはずの相方がほぼ同時に駆けつけるのはおかしいのではないか。

 ことほど左様に描写が足りない展開が多すぎ、観ていてもう、イライラする。

 脚本はブラジリィー・アン・山田。劇団主催者だがホラー系の映画やドラマの脚本を多く手掛けているらしい。
 ああ、なるほど、という感じ。
 舞台のリアリティと映画のリアリティの区別がついていない感じがする。

 例えば4軒目など、

「このエピソードで映画を締めるぞ」

という気負いもあるのだろうが、なにやらその物件と関係あるのかないのかよく解らない魑魅魍魎が、取り立てて映像的な工夫もないまま大挙して出てきて、ホラー映画というより暗黒舞踏の舞台中継のようである。
 さらにココで前半からチラチラ出てきた謎のボスキャラが大々的に活躍するのだが、結局正体不明である。
 脚本家としては正体不明のまま終わることで「へっへっへ、深みのあるホン書いたったで、、、」などと思っているのだろうが、造形が紋切り型なせいもあってバカバカしいだけである。

 結局、ココ数作の中田秀夫作品と一緒だなぁ、と。
 前半は演出力もあってソコソコ期待させるが、後半グダグダで、脚本を制御出来ず、ほとんどお笑いになって終わる。
 中田秀夫はいつかこの地獄から抜け出せるのだろうか。

 亀梨くんの演技はソコソコ自然で「見てらんねぇ、、、」ということはないが、最後まで演技プランが定まらず終わってしまった印象。
 例えば最初は嫌がっていた住みます芸人としての活動を、徐々に受け入れていく過程が演技では表現できていない。
突然、
「あ、もう受け入れたのね、、、コレで行くしか無いって決めたのね、、、」
という感じ。

 そのせいで東京進出にあたって急に梓ちゃんに辛くあたるのも、これ以上梓ちゃんを巻き込みたくないからなのか、ホントに邪魔だと思ってるのか判らない。
 コレは演出のせいなのかな、、、

 あとコレはイカンと思うのは、「ホラー・エンターテインメント」などという訳のわからない造語をひねり出して宣伝していることだ。
 じゃ、アレか。
 普通のホラーはエンターテインメントじゃないのか。

 おそらくは原作にはない恋愛要素やコメディ要素を盛り込んだことに対する言い訳か、あるいは最悪自慢なのかもしれないが、ラストの大騒動など、全然ホラー要素とコメディ要素がかみ合っていなくて、ただただサムいだけ。

 ただ、途中一箇所高田純次さんが高田純次のキャラのまま、怪しい行者として登場してきて、ココだけ面白いし、意外に本筋に絡んでくる。結構有能な行者だったのだ。
 このキャラをメインに据えたスピンオフの制作をお願いします。

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