「追龍」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・香港

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 バリー・ウォンである。

 バリー・ウォンは多作のヒトだが全部観てなくても大丈夫。
 正直言って「ゴッド・ギャンブラー」シリーズ3部作と「シティーハンター」だけ観ておけば(古くて申し訳ない、、、)、バリー・ウォンのことは充分分かる(ていうかワタクシ禁煙さんがそれしか観てないんだけど)。

 バリー・ウォンは娯楽映画の申し子である。
 とにかく楽しい映画を作ることしか考えてない。
 そして楽しくなりそうなものは何でも詰め込む。
 それがバリー・ウォンクオリティ。

 しかし今回共同監督にジェイソン・クワンなる人物がクレジットされている。
 調べてみるとコレまでは撮影監督をしていたヒトである。
 なんでそんなものが必要なのだろう。
 バリー・ウォン、66歳。まだ耄碌して1人で映画作れなくなる年でも無いはず。

 ハナシは1960年、ドニー・イェン演じるホウが本土から仲間数人と香港に渡ってくるところから始まる。
 地元のヤクザに雇われて大通りで行われる100対100くらいの大人数の喧嘩に加勢したホウ一味。
 その様子を通りに面したビルのベランダから、アンディ・ラウ演じる、この時点ではまだ下っぱ警官だったロック探長(「探長」とは初めて聞く役職名だが、この映画には頻出する。出世すると「総探長」になったりする)。
 ロックはやたら喧嘩が強いホウに目をつけ、彼を手下にすることを画策する。
 映画はこの後、協力しあってギャングの世界と警察の世界から香港を牛耳るようになる二人の友情を軸に1974年までの14年間を描く。
 つまり「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のような年代記映画である。
 だったら「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ホンコン」でいいじゃねーか、とも思う。

 実はこの、ギャングのホウと警官のロックは実在の人物らしい。
 しかもどちらもそれぞれ過去に映画になっている。
 しかもしかも過去のロック探長の映画でロックを演じたのはやはりアンディ・ラウ。
 伝説の汚職警官、ロック探長はアンディ・ラウのお気に入りなのだろう。

 そして史実にのっとり、1974年、英国政府による汚職取締の強化政策まで、二人による香港裏社会の支配は続く。
 ちょっと意外だったのは、この二人の友情と協力関係は、最後まで続くのである。
 途中反目しそうになったりもするが、結局、1974年に離ればなれになり、二度と会うことはなくなっても、友情は続いている。
 ドラマツルギーとしてはこの二人が対立したほうが盛り上がるのだが、史実だから仕方がない。
 この映画が、14年間の様々な強烈な事件に彩られているにもかかわらず、やや平坦な印象があるのは、そのせいかもしれないな、と思ったりする。

 そしてこの映画は、いまから60年前が舞台であることを強調するためだろう、やや不思議な色彩設計をされている。
 強烈な色彩であるにもくすんでいる、という、派手な時代であったこととノスタルジーを同時に表現できる絶妙な色彩。
 撮影監督アガリが共同監督にクレジットされているのはこのためなのだろう。

 二人が協力しながら香港の裏社会を牛耳っていくさまはそれなりに面白いが、ちょっと残念なこともある。
 せっかくのドニー・イェンの扱いである。
 アンディ・ラウと並ぶ堂々の二人主演だし、香港映画界の巨匠バリー・ウォン作品なので、ドニー・イェンにも不満はないのだろうが、なぜか得意のカンフーアクションを封じられている。

 そもそも「喧嘩が強い」という前提になっているので、得意のカンフーアクション出すチャンスはいくらでもある。というかドニー・イェンの出演シーンの半分はアクションシーンだったような気さえする。
 にもかかわらず徹底的に型のない「喧嘩アクション」になっている。
 せっかく当代一のカンフー俳優を使って何故カンフーを封じているのだろう。
 コレも「史実だから」ということだろうか。
 ホウ氏は喧嘩は強いがカンフーは使えなかったのかな、、、

 あと、どういうわけか中途半端な長髪と口髭のドニー・イェンが「Gメン75」の頃の夏木陽介さんにクリソツ。
 もう、絶対意識して寄せてる。
 そう言えば、チャウ・シンチーの「西遊記〜はじまりのはじまり〜」のラスト、三蔵法師一行が勢揃いして並んで歩くときに突如「Gメン75」のテーマが流れるというギャグがあった(大笑いしました)。香港でも「Gメン75」は大人気だったのだろう。
 そして「狼の挽歌」のチョウ・ユンファが小林旭のモノマネだったように、本作のドニー・イェンは夏木陽介のモノマネなのだろう。

 カンフーを封じられたドニー・イェンが、代わりに出した条件が夏木陽介のモノマネだったのかな、、、

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